「役者やタレントになりたいけど、特技がない…」
そんな方はこれをマスターしてください☆
オーディションで活かせる特技お教えします!
【これを上手く言えたならやる気が伝わり一目置かれるかも?! それは ‘’外郎売‘’(ういろううり) 】
もともとは歌舞伎の長台詞なのですが、
アナウンサーの定番活舌練習に使われたり、
役者も定番の活舌練習&表現力を身に着けるための教材として使われていたりします。
かなりの長文なうえに、早口言葉などがとにかくたくさん出てきます。
覚えるだけでも大変ではありますが、
俳優になりたいのであれば基礎的なことなので覚えておいた方がいいです。
毎日口に出して練習すれば、1ヶ月~2か月位で覚えて言えるようになると思います。
私の場合は演技の稽古で外郎売を1週間~2週間位で覚えました。
もっと早く覚えた人もいたと思います。
もともと記憶力がいいほうではないので、「他の役者さんたちに遅れをとらないように!」
というモチベーションで口に出してかなり集中的に練習しました。
外郎売を繰り返し練習して、表現力、演技力を身に着けて、オーディションに挑んで下さいね。
きっとあなた自身の自信にもつながるはず☆
【外郎売(ういろううり)】
※漢字の横にふりがながふってあります
拙者(せっしゃ)親方(おやかた)と申すは、御立合(おたちあい)のうちに御存知(ごぞんじ)のお方(かた)もござりましょうが、
お江戸を立たって二十里(にじゅうり)上方(かみがた)、相州小田原(そうしゅうおだわら)、一色町(いっしきまち)をお過ぎなされて、
青物町(あおものちょう)を登(のぼり)へお出(い)でなさるれば、 欄干橋(らんかんばし)虎屋藤右衛門(とらやとうえもん)、
只今(ただいま)は剃髪(ていはつ)いたして円斎(えんさい)と名のりまする。
元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、お手に入れまする此(こ)の薬は、
昔、ちんの国の唐人(とうじん)、外郎(ういろう)という人、わが朝(ちょう)へ来(き)たり、
帝(みかど)へ参内(さんだい)の折(おり)から、この薬を深く籠(こ)め置(お)き、 用(もち)ゆる時は一粒(いちりゅう)づつ、
冠(かんむり)のすき間(ま)より取出(とりいだ)す。 依(よ)ってその名を、帝(みかど)より「頂透香(とうちんこう)」と賜(たまわ)る。 即(すなわち)文字(もんじ)には、「いただき、すく、におい」と書いて「とうちんこう」と申す。只今は此(こ)の薬、
殊(こと)の外(ほか)世上(せじょう)に弘(ひろ)まり、ほうぼうに似看板(にせかんばん)を出(いだ)し、
イヤ、小田原(おだわら)の、灰俵(はいだわら)の、さん俵(だわら)の、炭俵(すみだわら)のと、色々に申せども、
平仮名(ひらがな)を似(も)って「ういろう」と記(しる)せしは親方円斎ばかり、
もしやお立合(たちあい)の内(うち)に、熱海(あたみ)か、塔(とう)の沢(さわ)へ湯治(とうじ)にお出(いで)なさるか、
又(また)は、伊勢(いせ)御(ご)参宮(さんぐう)の折(おり)からは、必ず門(かど)ちがいなされまするな。
お登(のぼ)りならば右(みぎ)の方(かた)、お下(くだり)ならば左側(ひだりがわ)、 八方(はっぽう)が八(やつ)棟(むね)、
おもてが三(みつ)棟(むね)玉堂造(ぎょくどうづくり)、破風(はふ)には菊(きく)に桐(きり)のとうの御紋(ごもん)を
ご赦免(しゃめん)あって、 系図(けいず)正しき薬(くすり)でござる。
イヤ最前(さいぜん)より家名(かめい)の自慢(じまん)ばかり申しても、ご存知ない方(かた)には、
正身(しょうしん)の胡椒(こしょう)の丸呑(まるのみ)、白河夜船(しらかわよふね)、さらば一粒(いちりゅう)たべかけて、
その気味合(きみあい)をお目にかけましょう。
先(まづ)此(こ)の薬を、かように一粒(いちりゅう)舌(した)の上にのせまして、腹内(ふくない)へ納(おさ)めますると、
イヤどうも言(い)えぬは、胃(い)、心(しん)、肺(はい)、肝(かん)がすこやかに成(な)って、
薫風(くんぷう)喉(のんど)より来(き)たり、 口中(こうちゅう)微涼(びりょう)を生(しょう)ずるが如(ごと)し、
魚鳥(ぎょちょう)、きのこ、麺類(めんるい)の喰合(くいあ)わせ、
その外(ほか)、万病速効(まんびょうそっこう)あること神の如(ごと)し。
さて、この薬、第一の奇妙(きみょう)には、舌のまわることが、銭(ぜに)独楽(ごま)がはだしで逃(に)げる。
ひょっと舌がまわり出(だ)すと、矢(や)も楯(たて)もたまらぬじゃ。そりゃそりゃそらそりゃ、
まわってきたは、廻(まわ)ってくるは、アワヤ喉(のんど)、 サタラナ舌(ぜつ)に、カ牙(げ)サ歯音(しおん)、
ハマの二つは唇(くちびる)の軽重(けいちょう)、開合(かいごう)さわやかに、 アカサタナハマヤラワオコソトノホモヨロオ、
一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、 盆(ぼん)まめ、盆米(ごめ)、盆ごぼう、摘蓼(つみたで)、つみ豆(まめ)、つみ山椒(さんしょう)、
書写山(しょしゃざん)の社僧正(しゃそうじょう)、 粉米(こごめ)のなまがみ、粉米のなまがみ、こん粉米のこなまがみ、
儒子(しゅす)、緋儒子(ひじゅす)、儒子、儒珍(しゅっちん)、 親(おや)も嘉兵衛(かへい)、子こも(嘉兵衛)、
親かへい子かへい、子かへい親かへい、 ふる栗(ぐり)の木の古切口(ふるきりぐち)、雨がっぱか、番(ばん)合羽(がっぱ)か、
貴様(きさま)のきゃはんも皮脚絆(かわぎゃはん)、我等(われら)がきゃはんも皮脚絆、 しつかはしっかわ袴(ばかま)のしっぽころびを、
三針(みはり)はりながにちょと縫(ぬ)うて、ぬうてちょとぶんだせ、 かはわら撫子(なでしこ)、野石竹(のぜきちく)、
のら如来(にょらい)、のら如来、三(み)のら如来に六(む)のら如来、
一寸先(いっすんさき)のお小仏(こぼとけ)に、おけつまづきゃるな、細溝(ほそみぞ)にどじょにょろり、
京(きょう)の生鱈(なまだら)、奈良(なら)なま学鰹(まながつお)、ちょと四五貫目(しごかんめ)、
お茶立ちゃたちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ、青竹茶煎(あおだけちゃせん)で、お茶ちゃと立ちゃ。
来(く)るは来るは、何が来る。高野(こうや)の山(やま)のおこけら小僧(こぞう)、
狸(たぬき)百匹、箸(はし)百ぜん、天目(てんもく)百ぱい、棒(ぼう)八百本、
武具(ぶぐ)、馬具(ばぐ)、武具、馬具、三(み)ぶぐばぐ、合(あ)わせて武具馬具六(む)武具馬具、
菊(きく)、栗(くり)、菊栗、三(み)菊栗、合せて菊栗、六(む)菊栗、
麦(むぎ)ごみ麦ごみ、三(み)麦ごみ、合せて麦ごみ六(む)麦ごみ、
あのなげしの長(なが)なぎなたは、誰(た)がなげしの長薙刀(ながなぎなた)ぞ、
向こうのごまがらは、荏(え)の胡麻(ごま)がらか、真(ま)胡麻(ごま)がらか、 あれこそほんの真胡麻(まごま)がら、
がらぴいがらぴい風車(かざぐるま)、おきゃがれこぼし、おきゃがれこ法師(ぼし)、 ゆんべもこぼして又こぼした、
たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、 たっぽだっぽ一丁(いっちょう)だこ、
落(お)ちたら煮(に)てくを、煮ても焼いても喰われぬものは、五徳(ごとく)、 鉄(てっきゅう)、かな熊(ぐま)どうじに、
石熊(いしぐま)、石持(いしもち)、虎熊(とらぐま)、虎きす、
中(なか)にも、東寺(とうじ)の羅生門(らしょうもん)には茨城童子(いばらぎどうじ)がうで栗(ぐり)五合(ごんごう)つかんでおむしゃる、かの頼光(らいこう)のひざ元(もと)去(さ)らず、鮒(ふな)、きんかん、椎茸(しいたけ)、定(さだ)めてごたんな、
そば切(き)り、そうめん、うどんか、 愚鈍(ぐどん)な小新発知(こしんぼち)、小棚(こだな)の、小下(こした)の、小桶(こおけ)に、
こ味噌(みそ)が、こ有(あ)るぞ、 こ杓子(しゃくし)、こもって、こすくって、こよこせ、
おっと、がってんだ、 心得(こころえ)たんぼの、川崎(かわさき)、神奈川(かながわ)、保土ヶ谷(ほどがや)、戸塚(とつか)を、
走(って)行けば、やいとを摺(すりむ)く、
三里(さんり)ばかりか、藤沢(ふじさわ)、平塚(ひらつか)、大磯(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)の宿(しゅく)を七つおきして、
早天(そうてん)そうそう、相州小田原(そうしゅうおだわら)とうちんこう、隠(かく)れござらぬ貴賎群衆(きせんぐんじゅ)の、
花のお江戸の花うゐいろ、 あれあの花を見て、お心を、おやはわらぎやという、
産子(うぶこ)、這(は)う子に至(いたる)まで、 此(こ)のうゐろうのご評判(ひょうばん)、ご存知ないとは申されまいまいつぶり、
角(つの)だせ、棒だせ、 ぼうぼうまゆに、うす、杵(きね)、すりばちばちばちぐゎらぐゎらぐゎらと、
羽目(はめ)をはずして今日(こんにち)お出(いで)の何茂様(いづれもさま)に、 上(あ)げねばならぬ、売らねばならぬと、
息(いき)せい引(ひ)っぱり、東方(とうほう)世界の薬の元締(もとじめ)、 薬師如来(やくしにょらい)も照覧(しょうらん)あれと、
ホホ敬(うやま)って、うゐいろうは、いらっしゃりませぬか。(終)
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